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メリヤス編みが丸まるよぉ〜! |
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メリヤス編みが丸まるのはなぜ?対処方法は? |
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…メリヤス編みが丸まってしまいます。どうしたらいいんでしょう?
…メリヤス編みのマフラーを編んでいたら、編地が丸まってしまいました。やり直さなければいけませんか。
…メリヤス編みが、くるくる丸まってしまいました。困っています。
私たちのメールボックスに、上のようなメールがやってきます。それも、毎日です。もちろん、メールを送って来られる方は真剣に悩んでいますし、切羽詰った雰囲気も伝わってきます。私たちは、あちこちに書いてあるんだけどなぁ、よく読んでほしいなぁ、と思っていましたが、とうとう根負けです。あえてこの専用のページを作りました。メリヤス編みが丸まるとお悩みのあなたにこの一言を贈ります…メリヤス編みは丸まります。
メリヤス編みの編地
論より証拠、編地の実際を見てもらったほうが早いでしょう。上の写真の左側が編みあがり直後、そして右側が同じ編地をスチームアイロンで整えた後です。これが普通です。メリヤス編みが丸まると悩む方は、おそらく一度も人が編んだ編地を見たことがなく、編み物本で右のような写真を見せられて、自分の編地がそうならないので悩むのだと思います。以前、私たちはこれを「ほかの人の裸を見たことがない人が、自分の体がおかしいのではないかと悩む」ということと似ていると書いたことがあります。私たちのように家族に編み物を教えてもらい、周りに編み物をする友人がたくさんいた、という環境で育った人間には考えられないことですが、編み物を本で覚える人がいかに増えてきているかがわかる現象です。だからこそ、このホームページのような情報が必要とされるのでしょう。それにしても、日本中でいったいどれくらいの人がこれに悩んでいるのでしょうか?
メリヤス編みの性質
メリヤス編みの編地は、左図のように、左右は表目から裏目の方へ丸まり、上下は表目の方へ丸まる性質があります。この性質は本質的なものですので、なくすことはできません。そのため、メリヤス編みの編地は一般的に平面が必要な部分には使えません。平面が必要な場合は、ガーター編み・ゴム編み(リブ編み)・かのこ編みなど、表目と裏目を交互に同じ数だけ使う編地を使います。マフラーなども、平たい編地にしたい場合には、メリヤス編みではなく、ゴム編みやガーター編みを使わなければなりません。
たとえばセーターを見ても、裾や襟ぐりはたいていゴム編みになっています。ここをメリヤス編みにすると編地の端がめくれて落ち着かなくなって困ります。カーディガンの前立ても、靴下の編み始めも同じことです。編地の性質を理解し、いいところを生かして、まずいところを補うように工夫することが大切なのです。ですから、メリヤス編みのマフラーも、端部分をゴム編みやガーター編みにするとかなり落ち着きます。
アイロンがけ
メリヤス編みの丸まる性質は本質的なものですから、完全になくすことはできませんが、最初の写真にあるようにアイロンがけをするとかなり弱めることができます。ただし、マフラーなどの場合、巻いているうちにまた少し丸まってきたり、水洗いをすると元に戻ってまたアイロンがけをし直さなければならなくなったりします。
アイロンがけの仕方は、スチームアイロンを使い、スチームだけを編地にあてる「浮きがけ」をします。注意点は、たっぷり蒸気をかけるということです。家庭用のスチームアイロンなら、マフラー一本でタンクの水すべてを蒸気にしてをかけるくらいの気持ちで十分にかけてください。とくに編地の端は、指で編地を伸ばしながら、たっぷりと濡れた感じになるくらいスチームを当ててください。本式にやるのなら、アイロン台にマチ針で編地を平らに固定し、たっぷりとアイロンのスチームを当てたあと、冷めて乾ききるまで半日〜1日以上放置します。しかし、これをするには大きなアイロン台とたくさんのマチ針が必要です。指でも十分に丸まりはとれますので、本式に編み物を始めるつもりでなければ、あえて揃える必要はないでしょう。なお、アイロンをかけた編地はなるべく平らな状態のまま乾かします。
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