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騒ぐ子を 叱りながらも 止まらぬ手 亜雁
編む手元 ぴたりと止まり 句作かな 亜雁
夜も更けて 額に刺さる 竹の針 亜雁
編み物の 売り場広がる 秋来たり
毛糸だま 年四回では 待ちきれぬ
気が付けば 目数が違う 透かし編み
厚すぎて 夏に着られぬ 夏ニット
綴じはぎに 明らかなりし 技量かな
あと一目 この一段で 夜が明ける
幾人の 頬奪いしや 毛糸玉
間違いの 上に憎きや 十五段
誉めつつも 自分も編めると つぶやいて
秋風に 吹き寄せられて 毛糸店
編みながら テレビ見ながら 生返事
夫はついに 無口となりぬ 亜雁
若い娘の 下手なマフラー 誉めといて
私のセーター なんで無視する
彼の人の 手編みマフラー 裏返し
見つけたタグの なんと嬉しき
去る人に 渡しそびれた マフラーに
掛かりし針の いまだ外せず
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