ベストのような小物（中物？）作品を、前あきにするのは、全体からみるとかなり余分の手間がかかりますが、とにかく前あきベストは脱ぎ着が楽なので、ちょっと羽織ったり、脱いだりと、温度調整をするには便利なものです。もちろん、体が堅くなってきた年配の方にも喜ばれます。 また、デザイン的にも前あきのほうがお洒落ですので、どうぞ頑張って挑戦してみてください。 このベストは手編みですが、重さは250gしかなく、機械編みのベストと比べてもそんなに重くはありません。編地が詰んでいる上に、毛糸がフェルトっぽい状態になっているために保温力が高く、とても暖かいベストです。ジャケットの下に着込むとすぐにお腹のあたりがぽかぽかしてきます。
コーディネイトこのベストはシンプルなシルエットですから、フォーマル・カジュアルのどちらでも使えます。
左は、オックスフォードのストライプシャツとカシミール模様のタイの上から着たところの写真です。ビジネスシーンでも、充分対応できることがわかると思います。この上から、ダーク系のジャケットを着ても決まります。 右はカジュアルな起毛の綿シャツの上から羽織った写真です。釣り、バードウォッチング、ハイキングなど、アウトドアではこのベストの暖かさが心強いはずです。ダウンパーカのように袖が詰まったアウターの内側にはセーターよりベストの方が着易いので、本当に重宝します。 使用糸
使用糸は、Rowanspun dk です。太さは合太くらいの毛糸ですが、50gで200mもあり、思ったよりも編みごたえがあります。Rowanspun シリーズはどれも手紡ぎ調の糸ですが、これも糸全体がフェルト化されたように、もわっとした毛糸です。手編みとは思えないほど軽く仕上がりますが、その代わりに全体がマットな感じの編地になります。今回使った2002年秋の新色＃７０５は、とくに渋い色調で、赤・黒・山吹色・肌色などのウールの粒が撚りこまれています。編み上がった直後でも、もう何年も着古したようなざらっとした感じになり、思わず、「おじいさんの時計」のメロディが頭をよぎります。真面目な話、年配の方が着ると本当に着古してくたくたになったベストに見えるかもしれませんので、渋好みでない人にプレゼントにする場合は、別の色か、他の糸を選んだ方が良いかもしれません。ともかく、この毛糸は最高に 使用編針模様編みには6号、ゴム編みには4号を使っています。ゲージは模様編みが、10センチ四方で22.5目×46段です。 編図（紳士Mサイズ）
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編地は一見メリヤス編みのように見えますが、実際は右の写真のようにすべり目を使った地模様になっています。このような模様を入れて編地に微妙な凹凸をつけることで、ツイード糸の質感が強調されて、作品の雰囲気が変わってきます。この模様編みは、引き上げ目を使ったイギリスゴム編みほどではありませんが、すべり目を使っているため、編地の高さが出ません。その分だけ余計に段数を編む必要がありますし、メリヤス編みよりも地厚になるため、太い毛糸ではモコモコしてしまいます。ですから、細めの糸で沢山の段数を編むことになりますので、ベストとは言え、メンズサイズを編み切るのは結構大変です。しかも、前あきですので、もし、プレゼントにするのなら、普通のメリヤス編みのかぶりものの（前あきでない）ベストの倍近くの期間は見積もっておいてください。それでも、やはり袖がないので、セーターよりは早く仕上がると思います。
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