サンカ手袋の編図と編み方 |
サンカ手袋の日本式編図と編み方を説明します。 |
謝辞
サンカ手袋の編図を作成するにあたり、ニットデザイナーの佐藤ちひろ氏より、所蔵のサンカ手袋をお借り致しました。貴重な手袋を快くお貸しいただいた佐藤ちひろ氏に対して、この場を借りて心よりお礼申し上げます
この手袋作成に必要な技術
きわめて細かい編み込みに加えて、狭い部分での細工が多い手袋です。この作品を完成させるには技術と根気の両方が必要です。通常の手袋をすでに編んだことがあり、新しいものにチャレンジしてみたい中級・上級者向けの作品です。この手袋はゲージが密で極めて暖かく、三角柱に編んだ指は指を締め付けず、パターンの流れはどこからどこまでつながっていて、とても実用的で美しい手袋です。
素材・用具・ゲージ
使用糸 | 極細毛糸(25gあたり約170〜190m程度) 黒・白各10g |
使用針 | 直径 1.5mmの4本棒針 (注) |
ゲージ | 10cm平方 56目×62段 |
出来上がりサイズ | 手回り17.5cm 長さ21.5cm |
(注)日本では市販品なし。英国規格では 000(トリプルゼロ)号に相当。イギリスからの輸入品を入手するか、金属棒や竹ひごなどで自作する必要あり。
出来上がり写真
佐藤ちひろ氏が、サンカでオーダした手袋です。賞を取ったニッターの作品とのことです。これほど緻密・正確に作られた手袋は初めて目にしました。驚愕の逸品です。世界は本当に広いと思いました。
全体の編図
部分編図
編図a
編図b
編図c
編図d
模様
模様編みA 2目×1段
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模様編みB 2目×11段
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模様編みC 22目×22段
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イニシャル用7段アルファベット
編み方説明
青い字は、たた&たた夫の推測部分です。
黒い糸を使って指でかける作り目を88目作る。
作り目を輪にして模様編みA(オリジナルはメリヤス編み。2目ゴム編みでも可。)を28段編む。
イニシャル部分にイニシャルを入れる。イニシャル用の部分は9段の高さがあるので、アルファベットは7段のものを使う。(上図参照)イニシャルの裏の渡り糸は着脱時に邪魔にならないように編みくるむ。イニシャルの部分は40目以下にしないとイニシャルが一部分手の甲側に回ってしまう。(イニシャルを入れない場合でもどこかに黒い縦線を入れておかないと目数が偶数なため、チェック柄にならないので注意。黒い縦線を入れない場合は上下の黒横線内で一目調整する。)
輪編みの編み始め部分で親指のマチを22目編み出しながら(編図a)、模様編みCを27段編む。
編み出したマチ22目を針にとり、残りを休める。
黒い糸で11目を作り目してから親指のマチ22目を合わせて33目の輪にする。
親指を輪で編む。
休ませていた目をすべて針に戻し、親指の作り目から11目を拾ってさらに輪編みをする。このとき親指の付け根に穴があきやすいので、他の部分から目を拾って二目一度したり、ねじりながら拾うなど、工夫する。
下から55段編んだら、次のパターンの黒横線部分の1段を編み、人差し指部分の33目を針にとって残りの目は休める。
人差し指と中指の間部分で9目を巻き増し目で増やす。この部分は毎段両端から減目をし、最後に残った一目は次の段で二目一度して消す。(編図d参照)
人差し指を33目の輪で編む。
中指の両側22目を針に戻す。人差し指側の巻き増し目9目から9目、その両隣の人差し指の目から1目づつ、合計11目を拾う。中指と薬指側の間は9目を巻き増し目で増やす。巻き増し目側は人差し指と同様に三角形のマチを編む。
薬指は中指と同様に編む。
小指はほかの指と同様に、薬指の巻き増し目側から11目を拾い、33目にして編む。
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