- 準備編 -
1 マフラーの意味
マフラーから始めよう、というのに抵抗ある人はいないでしょうか。「あまりにもありきたり」「もうすこし凝ったものから始めたい」と思う方もあるのではないでしょうか。まったく編み物をしたことがない人でも、「マフラーなんて初心者っぽくてイヤ。もっと人が驚くようなものを編みたい。」という大胆なことを考える人は結構いるようです。作ってみたいものは色々あるでしょう。ミトン・手袋・帽子・バッグなどの可愛らしい小物から、ベスト・セーター・カーディガン・スーツなどの大物まで。頭のなかではすでに素晴らしい作品が色とりどりに咲いているかもしれません。
しかしはじめて棒針編みに挑戦する場合、やはり「マフラー」をお勧めします。理由はまず形が単純で編みやすいことですが、それに加えて「サイズの問題がない」ということが決定的です。
初心者は編目が安定せず、編み始めとある程度なれてきたときとでは編目の大きさがかなり違ってくることが普通です。つまり、同じ目数・同じ段数だけ編んでいても編地の大きさが変化するということです。最初は下手をすると倍くらいの違いになったりします。マフラー以外のものでこのようなことが起きると、身に付けるものですから「だぶだぶ」「へそだし」とかならまだしも「着られない」状態になってしまうと、手間をかけて作るものだけに本当にへこみます。マフラーだったらサイズが少々違ってもまさか、「巻けない」ということはありません。
あの広瀬光治先生でさえ編み始めたときにはセーターのサイズが合わず、3度編み直してやっと着られた、と振り返っています。その根性には舌を巻きますが、2度も続けて失敗すれば普通の人であれば簡単には立ち直れないと思います。色々と野望はあるかもしれませんが、上手になればいくらでも作れますから、初めて編み物に挑戦する際はマフラーから始めましょう。
2 相談できる人を探す
このページは一人で編み物を始められることを目標にしていますが、それでも編み物のできる人が「一人も」まわりにいない場合、マフラーを完成させるためにはかなりの困難を覚悟する必要があります。できれば誰かを見つけましょう。探せばいるはずです。いつでも相談にいけるような身近な人が理想的ですが、その範囲で編み物ができる人がいないときは、毛糸を買う店で相談してみましょう。毛糸を買ったら教えてもらえるという店は少なくありませんので、そのような店を利用するのもよいでしょう。ただ、一口に「教えます」といってもレベルはさまざまで、レジの前で立ったまま難しいところをちょこちょこと店の人が編んで、「じゃあと20段編んでからまた来て」というような場合もあります。上達したいのでしたら、「まったくの初心者でも編み方から教えてもらえるか」「費用はどうなるか」「教えてもらえる場所は具体的にどこか」「何時から何時まで教えてもらえるか」「休日はいつか」など、事前に出来るだけ細かく確認しておくほうがよいでしょう。
なぜ相談できる人が必要かですが、編み物をしているといろいろとハプニングが起きます。つい編み針から毛糸が抜けてしまうこともあります。このようなときに元に戻すのは超初心者では本当に大変です。それでも何とかして直さないと、続きが編めません。ですから、インターネットよりビデオより本よりなにより、「人」が大事です。もし誰かに指導してもらう場合、このページの説明と違った指導をされるかもしれません。そのときは、このページの説明よりもその方の指導を優先してください。
もちろん相手が編み物講師とかなら別ですが、ちょっと編み物ができるだけ、という人の場合、指導内容に信用できない気持ちが生まれる場合もあるかもしれませんが、うまくなるまでは相手の言うことに従うしかないのです。本当かなぁ、と疑っていると余計に上達の妨げになります。上手になれば、それぞれの違いを踏まえて、自分なりの解釈や個性が自然に出てきますから、最初の段階であまり悩む必要はありません。
ただ、針や糸の持ち方が非常に個性的な人がいます。テレビや本の持ち方と大きく違う編み方で始めると後で苦労することもあります。将来、長く編み物をしてみたいとおもう方は、このような基本に関しては最初から少し神経質であってもよいでしょう。
最近の編み方の主流は、編む糸を左手人差し指にかける「フランス式」になっています。しかし、日本では編む糸を右手人差し指にかける「アメリカ式」で編む方もたくさんいます。年配の方ではおそらく「アメリカ式」が主流だと思います。この2つの編み方の違いは決定的ですので、いろいろ指導してもらえる人がいるのでしたら、「フランス式」で始めることをお勧めします。(このページでは「フランス式」のみを説明します。)「アメリカ式」しか知っている人がいない場合は、「アメリカ式」で始めても構わないでしょう。
もし、最初についた指導者がどうしても信用できないのであれば、やむを得ませんので、失礼のないように指導を断って、新しく別の人を探しましょう。新しい人に付いた場合は、前の人の指導を参考にしないで、すべて新しい気持ちで指導を受けましょう。「前の先生はこういった」とか「あの本にはこう書いてあった」などと、断片的な知識を振り回すと、指導者の気分を害し、結局損をするのは自分、ということになりかねません。技術の伝達は、コップの水を手から手に移すようなものです。与える方のコップと、受ける方のコップの口がぴったりと合っていないと水は流れ去ってしまいます。
なお、どうしてもまわりに編み物のことを知っている人がいない場合ですが、その場合でも編み物を始めることは可能ですので、このページを参考にしたり、本を読んだりして勉強しましょう。知っている人がいればすぐに解決できることが、なかなか分からずに回り道をすることがあるかもしれませんが、努力は無駄にはなりませんので、勇気をもって始めてみてもよいでしょう。
私はここまで、あえて「編み物教室」のことに触れませんでした。近くに編み物ができる人がいないのなら苦労して周りを探さなくても編み物教室に行けばいいのではないか、という方もいるでしょう。そのとおりです。ただ、教室に通うのはかなり面倒ですから、本当にやる気がないと難しいと思います。ちょっと始めてみようか、という方には編み物教室はかなりハードルが高いのではないでしょうか。費用もかかりますし、安い教室では道具を半強制的に買わされたりするという話も聞きます。しかし、本気で編み物を極めたい、人より上手になりたい、と思う方は最初からきちんと勉強する意味で編み物教室に勝るものはありません。
3 お店を選ぶ
相談できる人のところでも触れましたが、お店選びは結構難しいです。また、地域の状況はまちまちでしょう。極端な場合、離島などで周りに手芸店と呼べる店がまったくないという場合は、店選びなど贅沢な話ということになりますが、ここではある程度の規模の都市を念頭に説明していますので、その点はご了承ください。
3.1 近くの手芸店
いろいろと相談に乗ってもらえそうだったら近くの手芸店がいいと思います。ただし、品揃えは少なく、メーカーも偏っている可能性があります。また、一般に正価販売しているところが多いため、大きなショップより割高なことが多いです。編み物未経験で、ある程度の歳になると、ちょっと敷居が高い気になるかもしれません。あまりにご近所の場合、自分が編み物をしようとしていることを知り合いに言われるおそれがあり、恥ずかしいから買いにくいということもありえます。もし、男性だったら相当勇気がいるでしょう。
地域手芸店のレベルはさまざまで、高い編み物技術をもって地域の編み物文化を支え、発展させようという情熱をもっている店もあれば、完全にやる気を失って、商品に埃がかぶった店、明らかに利ざやの高そうな商品をしつこく薦める店、さまざまです。これらの店の良し悪しを見抜くのは他の商品を売る店と同じです。良いお店であれば、商品の価格がいくらか割高でもそれ以上の価値がありますので、長く付き合う気持ちで購入してもよいと思います。店によっては余った毛糸を引き取ってもらえることもありますので、そうなれば正価販売でもかえって安くつくかもしれません。
3.2 ユザワヤ・ハンズなどの大規模店
近くに大きな店舗があれば、このような品揃えの豊富な店はやはり便利です。毛糸の色や質感というのは手にとってみないとわからないことが多いのです。小さな店で糸を注文して、受け取ったときに「違う」と感じてもなかなかキャンセルはしにくいものですから、心ゆくまで色々な糸を手に取れる大規模店はやはり便利です。大規模店でも、編み物教室や指導はしているようですが、電車に乗って出かけるような距離では、初心者の場合はなかなか有効な指導は受けられないように思います。
3.3 通信販売
ちかくに適当な手芸店がなければこれに頼ることになります。一般に品揃えが豊富で、価格もこなれていることが多いようです。ただ、購入する毛糸の名称と色番号をあらかじめ調べておく必要があります。場合によっては糸見本帳を購入することになります。また、少なめに買うと後で買い足すとき、送料分が損になるため、どうしても多めに買ってしまいます。編み方の指導に関する付加的なメリットはありません。自分の状況を判断して利用してください。学生など未成年で働いていない方の場合は、必ず保護者の方の同意を得てから注文してください。支払いなどでトラブルを起こすと、保護者にも業者にも迷惑がかかります。
4 材料・道具を買う
友人・知人から余り糸をもらったり、道具を借りられる立場にない人は、まずそれらを購入する必要があります。ここでは購入の際の選択肢について説明します。
4.1 毛糸
毛糸は、素材・太さ・色・撚りその他、の4種類に区別して考えます。メーカーもありますが、最初の場合どこでもよいでしょう。
4.1.1 素材
通常ウール100%のものを使います。アクリルなどが若干(10%〜30%)入っている混紡でもよいでしょう。アクリル100%は、発色は非常に鮮やかですが肌触りがよくないので避けましょう。お店の方に許可をもらって、毛糸玉を頬や首などにそっとあてて感触をチェックしてください。化粧で毛糸を汚さないよう、注意しましょう。以前マフラーを編む糸玉を首の前から後ろへパフをあてるように順々に一周させて確かめていたおばさんを見たことがありますが、このへんは自分の中の良識と相談して決めましょう。
同じウール100%でも質感や堅さはまちまちです。すこしでもちくちくする感じがしたら絶対にやめて別の毛糸に換えたほうが安全です。糸だまで触感が気になるようなら、編地ではなおさらです。マフラーは肌に広く接触しますので、触感は大事にしましょう。他の人が大丈夫でも自分だけは肌に合わないこともありますから、お店の人に「これでマフラー大丈夫ですか?」などと質問するよりも実際に試しましょう。通販などで試せない場合は、ウール100%で、できるだけ柔らかそうな毛糸を選びましょう。
ウール以外の獣毛もあります。一般に羊毛よりも高価となります。このうちアンゴラは肌触りがやわらかく、感触もいいのですが、毛が抜けやすいので避けたほうがよいでしょう。ジャケットやコートが毛だらけになってしまいます。それ以外のカシミヤ・アルパカなどは普通のウールの倍以上の価格がついていたりしますが、気に入ったら使ってみるのもいいでしょう。また、毛糸のタグには洗濯記号がついていますから、もし手洗いしたい場合は、手洗いできるかあらかじめ確認しておきましょう。(右図参照)
最初の作品を編む場合、練習だからとその辺の余り糸を使うということがあります。とくに年配の方はそのように勧める人が多く、私も最初は何度も編み解いてデコボコになった黒と緑と黄色の混ざり糸を与えられ、これで編んだマフラーは苔が生えた地面にそっくりなことから、皆に「苔マフラー」と呼ばれました。とても悲しい思い出です。(イラストのマフラーは結構かっこ良く描けてしまいましたが、本当はとても汚い一品でしたヨ。)
だからというわけではありませんが、逆に最初だからいい素材を使ってみる、という考え方もあると思います。理由は「苔マフラー」とは正反対に、完成した作品が豪華になるため、達成感があることです。カシミヤのマフラーだったら、少々編目が不ぞろいでも自慢のマフラーとなるでしょう。また、肌触りも最高です。(本当に高級なカシミヤ100%だったら、ぬめりすぎて首から滑り落ちやすいかもしれませんが。)
編み物の楽しみというのは要するに創造する喜びですから、技量の劣る分を素材でカバーするというのは理にかなっています。
また、悪い毛糸は編みにくいことが多く、初心者には余計に扱いにくいと思います。ですから、小中学生のようにお小遣いがきびしいのでしたらしようがないですが、社会人の方である程度の収入があれば毛糸代は奮発してもその分の見返りはあると思います。
さらに、高いお金を出すと、完成させなければというプレシャーがありますから途中でメゲるのを防ぐという効果もあります。しかし最初はやはり上手には編めませんから必要以上に高い毛糸に手を出すのは冒険です。よく考えて下さい。
4.1.2 色
色は好みがもっとも分かれるところですから、好きなものを選びましょう。マフラーの場合、服や靴とのバランスもありますから、妥協しないで選ぶとよいでしょう。ただ、「白っぽい色は編目が目立つ」ということは注意しましょう。編目が目立つということは、編目の不ぞろいも目立つということですから。また、当然ですが汚れが目立ちますので、早く洗濯が必要となります。
とはいえ、たとえば真っ黒の糸などは編目は目立ちませんが、編目がどうなっているかが見えないため、とても編みにくく、また勉強にならないという面もあります。難しいところです。色を選ぶ際は、なによりも第一に好きな色、もし同じくらい好きな色があれば、少し濃い目の色、というようにするとよいと思います。黒・紺・こげ茶などは勧めません。色が混じった糸や段染めの糸もありますが、これもよいでしょう。編目もそう目立ちませんし、編地に変化がついて面白くなります。気に入った糸があれば使ってみるとよいでしょう。ただ、このような糸は糸玉と編地の雰囲気がまったくと言っていいほど違います。編んでみたら思ったものと違った、というのは悲しいので、その糸で編んだ編地見本か、その糸を使った作品の載った本で編地を確認したほうが安全です。
4.1.3 太さ
初心者の場合(ベテランでも)、糸の太さは重要な要素です。太さが少し変わると編目の数は大きく変わり、結果として出来上がる時間も大きく左右されます。
初心者はできるだけ太い糸がよいということで、ものすごく太い糸を薦められる場合もあると思いますが、ここでもそのようなマフラーが気に入るかどうかという
問題になります。親指のような糸で編んだマフラーが好きな場合はためらわずそのような超極太毛糸を使ってください。ただもう少し細めの方が好き、とか将来マフラーだけなくセーターも編んでみたいという野望をお持ちの場合、「極太」か「並太」という太さの毛糸をお勧めします。太さは細めのうどんから太めのラーメンという感じです。これくらいだと、編みあがるのに時間はかかりますが、その分練習にはなります。どちらを選ぶかは自分の判断です。凝り性か飽き性か、ファッションの好みはどうか、人それぞれですので、良く考えて決めましょう。
4.1.4 より・その他
糸の「より」にはきついものとゆるいものがあります。基本的な見分け方は、毛糸をよく見ると斜めの線が見えると思いますが、同じ長さの中でその数が多いものがよりの強い糸で、線の数が少ないか見えない場合はよりが少ない(甘い)糸です。きつくよってあるもののほうが最初は編みやすいと思います。ただし、編目がくっきりと立って、ソフトな風合いにはなりません。アラン模様などには最適ですが、マフラーの場合は少々甘めのものが雰囲気としてはよいように思いますので、難しいところです。よりの強弱以外にも「ファンシーヤーン」と呼ばれるさまざまな変化のついた糸が発売されています。これらを使うと変化のある編地となり、最初からそれなりに見ごたえのあるマフラーができます。ただし、その分編みにくいことが多いのです。糸の断面が円でなく帯のようなもの(リボンヤーン)や、異種糸をよりあわせてあるもの、糸の太さが部分によって大きく変化するようなものは注意しましょう。もちろん、本当に好きな糸があればそれを選んだほうがいいかも知れません。なによりも自分が気に入ることが一番ですから。
4.1.5 玉数
毛糸をどのくらい買ったらよいかですが、これは当たり前ですが、毛糸の種類と作りたいマフラーの大きさで決まります。極太ならだいたい50g玉で3〜5玉くらいでしょう。お店の人に毛糸を見せて、マフラーを編むのに何玉必要か聞いてもよいでしょう。最初に一玉だけ買って編地の長さを図ってから必要数を買い足すというのでも構いません。ただ、間があくとその糸が売り切れで入手できなくなったり、取り寄せになって長く待たされるということになる可能性もありますので、注意してください。
また、初心者の場合はそう神経質にならなくても構いませんが、毛糸にはロット番号というものがあります。(ついていない場合もある)これは糸を染めるときに、染料の入った釜に毛糸を入れて染めるのですが、一度に釜に入る量には限りがあるので、たくさんの毛糸をつくるときに同じ色の毛糸であっても何度かに分けて染め上げられます。その際、染料の調合や釜の温度や染め時間などの違いによって、同じメーカーの同じ糸の同じ色番号であっても微妙に色に違いが生じることがあります。このため、同じ釜で染め上げられた糸に同じロット番号を付け、別の釜で染め上げられた糸と区別がつくようにしています。ですから、買い足す場合は厳密には同じ色番号に加え、同じロット番号を指定する必要があります。そのため、ロット番号がついている毛糸のラベルは作品が完成するまで残しておくほうがよいのです。(右図参照)しかし、一つのロット番号は売切れてしまうと2度と入手できませんので注意が必要です。経験では、薄い色でロット番号の違いによる色の差が出やすいように思います。生成り(薄いクリーム色)・薄い水色、は要注意です。
4.2 編針
毛糸の次に編針が必要です。編針は号数によって太さが違います。号数の数字が大きいものほど編み針が太くなります。0号〜15号まであります。それ以上太い編み針はジャンボ○mmというように呼ばれます。○の部分は直径の数字です。編み針の10号とジャンボ10mm針とでは太さがまったく違いますので、注意してください。
棒針には、玉付・2本セット・4本セット・5本セット・輪編み針の種類があります。5本針は号数の小さいものだけにあるもので、短い編針が5本セットになっています。これは、手袋や靴下などの小物を輪編みするときに便利なものです。輪編み針は短い針と針の間にプラスチックのひものようなものがついているような形をしたもので、輪編みをするときに便利なものです。
マフラーを編む場合には、玉付針か2本セット針か4本セット針を使うことになると思いますが、それぞれ針の長さはほぼ同じくらいだと思います。2本セットと4本セットは、針自体の形状は同じですので、以下(2|4)本針と表記します。これは、「2本セットまたは4本セットの棒針」という意味です。
玉付針は「平編み」という平らに編むときにしか使えませんが、(2|4)本針は将来「輪編み」という文字通り輪になる編み方をする場合にもつかえますので、(2|4)本針のほうが融通性が高いのです。
玉がないためそのままでは編んでいると反対側から編地が抜けてしまう恐れがありますが、専用のキャップが市販されていますので、それをつけると玉付針とほぼ同じになります。キャップがなければ輪ゴムを巻きつけても構いません。また、(2|4)本針は両側に針先が作られていますので、片方の針先が痛んだ場合、もう片側を使うということができます。そういうわけで、私はマフラー用に一種類だけ新しく買うのでしたら、(2|4)本針+編み止めキャップをお勧めします。
編み針の号数は、毛糸のタグを見ると○号〜○号と書いてありますので、それに合ったものを買うとよいでしょう。だいたい、並太で7号〜10号、極太で11号〜14号、超極太でジャンボ針という太さでしょう。これは一概に言いにくいのですが、初心者は編目がきつくなりがちです。
ですから、タグに書いてある一番太い針でよいのではないかと思います。ただ、つづけて別の作品を編む予定があり、マフラーはその練習という場合、そちらの作品に適合した太さの針を選ぶようにすると無駄がありません。編み針はそれなりに高価ですから。
編み針の素材は竹・プラスチック・金属などがありますが、私たちはクロバー社の「匠」を愛用しています。「匠」は竹製の編み針ですが、表面加工がしてあり、糸のすべりがよくなっています。また、針先が半球に仕上げられていて編むときに糸割れがおきにくいようになっています。私たちは初めて使ったとき、編みやすさに驚きました。ちょっと割高の針ですが、それだけの価値は十分にあると思います。私たちはホームページの中で、特定のメーカーの商品を薦めたりはしないようにしていますが、あえて「匠」は推薦します。
4.3 かぎ針
余裕があればかぎ針を購入しましょう。使う機会が少ない割には高いので、最初は友人に借られるのならそれでも構いません。かぎ針は、編目を針から落としたときに拾うのに必要ですし、マフラーに房をつけたりするときにも使います。かぎ針もサイズがあり、号数で区別します。号数の小さいものが細い糸用です。マフラーに使う毛糸のタグにかぎ針だったら何号を使うか書いてあるので、それに対応したものを購入します。
かぎ針は片方だけにかぎがついているものと、一本の両側に違ったサイズがついているものとがあります。どちらにしても使う糸にあった号数が入っているものを選びます。どちらを選んでも構いません。また全体が金属でできた細いもの(右図上)と、木のハンドルに埋まった太いもの(右図下)があります。(どちらでも機能的には変わりません。長くかぎ針編みをする場合、太いほうが握りやすく、手が疲れにくかったりしますが、棒針編みを中心とする場合はあまり関係ありませんので、価格なども参考にして選んでください。
4.4 その他の小物類
編み止めキャップは買っておいたほうがいいでしょう。編み止めキャップは、玉付でない針を使って編むときに編地の抜け止めとして使ったり、編みかけのときに編地が編み針から外れないようにするものです。できるだけサイズの小さいものを選ぶほうがよいと思います。編み止めキャップの数が足りない場合は、すでに書いたように輪ゴムを編み針に巻きつけても代用できます。
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