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6. まとめとあとがき

「たた式練習法」のまとめ

1. 裏編みをするには、右針に対して左指に張った糸の角度を深くすることが必要。

2. 糸の角度を深くするためには左腕を内側に回し、人差し指を手前に傾ける。

3. 腕を十分内側に回すためには、肘の角度をできるだけ大きく保つ。

4. 肘の角度を保つためには手をお腹の前あたりまで下げるとよい。

5. 右腕は外側に回し、親指を上に持ってくる。(針先を下に向けやすいため)

6. 糸掛けした腕の状態を「構え」として先に覚えてから、掛ける動きを練習する。

7. 糸掛けはほかの動作とは別にして単独で繰り返し練習する。

指導者の方へのお願い

私たちが考案した「たた式練習法」ですが、私たちはホームページから情報を発信することはできますが、実際に裏編みを覚えようとする方への直接指導や上達速度の検証などは、あまりできません。学校の家庭科の授業など相当数の初心者への指導の機会がある方で、もし「たた式練習法」をとりあげてもよいとお考えの方がおられましたら、ぜひ実際にどの程度の効果があるか検証していただければ幸いです。

あとがき

編み物の基本技法は表編みと裏編みの二つです。表編みしかできない人はガーター編みしか編めません。(輪編みの場合はメリヤス編み)それに対して二つの編み方ができる人は、メリヤス編み・鹿の子編み・ゴム編みを始め、無数の模様編みができることになります。サナギが蝶になるような飛躍的な進歩といっていいでしょう。

飛躍的な進歩といえば今年は2001年、夢の21世紀です。キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」という映画をご覧になった方も多いでしょう。この映画の始まりは人類が生まれる前の地球です。2つの猿のグループが水場を争っています。そこに黒い直方体(モノリス)が現れます。その作用によって猿は進化を始め、獣骨を武器として使うことを覚えた猿が、相手のグループの猿を打ち殺して水場を勝ち取ります。喜ぶ猿は骨を空に投げ上げ、そして落ちてくると....宇宙ステーションになっています。つまり一瞬で数百万年の時が経過したことになります。このシーンは有名ですが、私はいつもここで違った想像をしてしまいます。それは進化し始めた猿が覚えるのは武器ではなく編み物、というものです。しもやけに悩んでいた猿はやがて進化を始め、抜け毛を梳いてメリヤス編みの靴下を作り、そして皆暖かく冬を過ごせた...。

あの名画をこのような漫画チックなストーリーにしてしまっては、キューブリックファンからならずともお叱りを受けそうですが、キューブリック監督はおそらく文明や進化の暗い側面をクローズアップすることによって、科学礼賛に偏ったバランスの回復を意図したように思います。 破壊や死というと暗いイメージがありますが、それは創造や生命において必要な出来事で、例えば編み物を生み出す人間の手も胎内では指同士がつながった状態であり、やがて指の間の細胞が積極的に死滅すること(アポトーシス)で指が形作られるのだそうです。「2001年宇宙の旅」も最後は死と再生をイメージさせる忘れられないほど印象的なシーンで終わります。

キューブリック作品のインパクトとは比較にならないかもしれませんが、編み物に情熱を傾けることは、破壊と創造のバランスを再び創造の側へと変えることであり、自らの世界を大きく変えていく行為ではないだろうかと思います。一つ作品を作る毎に何か新しい発見をし、生まれ変わった気持ちを味わうこと、これこそが時代を超えた創造の喜びにほかならないのです。

宇宙の旅

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