5. 裏編みの緩み対策
表編みよりも裏編みのほうが目が緩むというのは、かなりの人に共通する悩みのようです。表編みと裏編みの目の大きさが違うと、メリヤス編みの表はそれほど目立たないのですが、裏から見ると一段おきに筋が入るため、気になりだすと大いに気になるものです。私たちは、それほど気にしなくても構わないのではないかとも思います。また、簡単に直るものでもないと思います。しかし、ここで原因と対策について分かる範囲で考えて見たいと思います。
緩みの原因
裏編みを編む際、左手人差し指に糸を掛けず、たらしたままの人がいますが、これでは糸が緩んだり乱れたりするのは当然です。そのような人はまず、きちんと糸を指に掛けることを覚えなくてはなりません。しかし、ちゃんと糸を指に掛け、強く引いているにもかかわらず目が緩くなる人がいます。私達はこの場合の緩みの原因を針と糸の角度にあるのではないかと思っています。針にかかった目のきつさは糸を張る力の強さに比例するように思われていますが、それだけではなく糸を引く方向にも大きく影響されます。糸と針の角度がある程度深い場合は、糸を引くことによって針の目を締めることができます(下図左)。しかしある角度より浅い場合、引くことで針の目は逆に緩むのです(下図右)。
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(1)針と糸の角度が十分にある場合は、引くことで目が締まる。 |
(2)針と糸の角度がないと、引くことで目は緩む。ニードルループ(N)もシンカーループ(S)も針に対して斜めになり、緩む。 |
上図(2)では引くことによって針に掛かった目が斜めになっていますが、この目を戻すと緩んだ目になります。これほど極端ではなくても糸を斜め方向に引っ張ると掛かった目が斜めになりますので、糸を直角方向に引っ張ったのと比べると同じ強さで引っ張っても目がゆるくなることが分かります。つまり、表目と裏目のきつさの違いは糸を引っ張る角度の違いのがおもな原因ではないかと思います。なぜなら、一般的に裏目を編むときのほうが糸の張りはむしろ強いのです。裏目がゆるくなる方は一生懸命強く引いていてもなかなか裏目が締まらないと嘆きますが、これも糸の角度が問題と考えれば納得がいきます。
裏編みの方法が、手首全体で角度を保つのではなく、このページの最初で示したように他の指などを使って針に目を掛けている方は、もともとの糸と針の角度が浅いため、他の指が必要となっていると思います。つまり他の指を外している状態では針と糸が平行にちかくなっている可能性があります。これではどうしても裏目が緩みます。そのような方は、裏目を締めることをあきらめて、表目を緩めるようにするか、針と糸に角度がつくように裏編みの方法を変える必要があるかもしれません。そのような方は一度「たた式練習法」で他の指を使わない編み方を練習してみてください。
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