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初めてのソックス徹底図解 |
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初めて靴下を編む人のために、引き返し編みを使わない靴下の編み方を徹底図解します。 |
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1.1 靴下編みのすすめ
みなさんは、靴下を編んだことがありますか?さびしいことに最近靴下を編む人が少なくなってきたようです。小物がたくさん載っている編み物本を見ても、靴下の種類は少ないですし、編み方解説もほとんどありません。若い人の中には靴下の編み方をまったく知らない人もいるようです。
しかし、編み物にとって靴下はルーツとも呼ぶべきアイテムで、靴下抜きに編み物の歴史は語れません。編み物発祥の地と想定される中東から、スカンジナビアにかけての広い地域では、靴下が重要なおしゃれのポイントで、祭りともなれば男女を問わず、自慢のカラフルな靴下を履きます。
また西洋の伝統では、シンデレラのガラスの靴やサンタクロースの靴下などに見られるように、靴・靴下は幸運のシンボルです。英語で大当たりのときの掛け声は、Sock!で、Sockには大成功という意味があります。いかに靴下がめでたいものであるかがわかるでしょう。
日本では今一つ人気のない靴下編みですが、アメリカでは大ブレイクしていて、編み物といえば靴下しか編まない人も珍しくありません。みんないかに自分の作った自慢の靴下を見せびらかすかということに涙ぐましい努力をしていて、アメリカの手芸店には透明のブーツまで登場しました。私たちはこのような話を聞くとアメリカ人に向かって、日本では家に上がるときはいつでも靴を脱ぐのだ、と言ってやりたい気持ちになることがあります。自慢の靴下を履いた足で地団太を踏んで悔しがるに違いありません。
そんな世界で一番恵まれた(?)日本人が靴下編みに一向に興味を示さないのは、まぁなんという皮肉でしょうか。い・か〜ん。天が許してもたた&たた夫がこのような不条理な世の中を許すわけにはいかんのだ〜!とは、申しませんが、踏みつけられた(当然かぁ?)、哀れな靴下に成り代わって、ソックニッティングの楽しさを語ってみたいと思います。
1. 早くできる
これは靴下に限らず、小物全般に言えることですが、とにかくすぐ編めます。もちろん超初心者でしたら、相当時間がかかるのはやむを得ませんが、ある程度慣れた方なら、一日でも十分編めます。編目の数から言えば一般的なマフラーよりも少ないのですから、当然でしょう。ただしマフラーと違って二つ編まないといけませんけどね。
2. 暖かい。実用的。
ウールの手編みの靴下の暖かさは、知らない人がかわいそうになるほどのものです。市販の靴下にもウール100%のものがありますが、手編みの靴下はまた一味違います。手袋や帽子にも言えるのですが、市販品はどうもサイズが小さめな感じで足が締め付けられるようですし、毛糸自体の質もそれほど良くないものが多いようです。たまにアンゴラの入った柔らかい肌触りのものもありますが、全体的にはかなり質の低いウールが使われているようです。一度、最上質の手編みウール糸で靴下を編んでみてはどうでしょうか?羊毛だけはなく、アルパカも暖かくて風合いがいいですし、キャメルも、アンゴラもいいでしょう。カシミアだって構わないと思います。もったいないようですが、靴下を編むくらいの量ならいくら高い毛糸を使っても、2000円くらいのものでしょう。仮に2000円したところで、手編みの靴下は補修ができるので、かなり長く履けます。無意味に高級素材を使う必要はありませんが、いい素材を使ったものを大事に長く使うというのは、決して贅沢ではないでしょう。
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最近、冷え性の人が増えてきているようです。セントラルヒーティングのマンションでも意外に足元は冷たい空気が残っていたりします。そのため、体はほてっていても、足先が冷たくなって困ることがあるようです。そのような冷え性の人には、軽く、暖かく、湿ってもじめじめした感じにならないウールの靴下は手放せない一品となるでしょう。
3. セーターにつながる技法をマスターできる。
マフラーのように単純にまっすぐ編んで行くのではなく、踵やつま先の形を作っていかなければなりません。そのため、靴下の編み方にもよりますが、ゲージ・減目・増目・メリヤスはぎ・引き返し編み・拾い目などの技法を使います。これらの技法はセーターを編むのにも使われます。しかし、セーター一着を編むのには時間がかかるため、次に編むときまでに忘れてしまったりして、なかなか技法がマスターできないことがあります。靴下は編地が小さいため、短い時間に何足も編むことができ、確実に必要な技法をマスターすることが可能です。
4. 楽しい。
セーターを編むとなると、時間もかかる上、ファッション全体のバランスもあり、そう冒険はできません。例えば、カラフルなセーターが気に入っても、なかなかそういうセーターを着て歩けないと思って、編むのをあきらめた人もいるかもしれません。その点、靴下なら思いっきり派手なものでも作ってみようという気になるものです。万一履けないような作品になったとしても、編みぐるみの感覚で、オブジェとして楽しむこともできます。カラフルに編み上げられた靴下は、とてもラブリーなもので、見るだけでホットな気分になります。アメリカでソックニッティングがブームなのもうなずけます。
1. 輪編み
靴下を編むのは、マフラーのような平編みではなく、輪編みという技法を使います。しかも、靴下の場合は輪の周囲が短いので、輪針という輪編み専用の編針が使えず、普通の棒針を四本組み合わせて輪編みをする必要があります。一般的に、棒針を使った輪編みは、平編みよりも難しいので、これが靴下や手袋を編む際の最大のハードルでしょう。残念ながら、これは練習して覚えるしかありません。このサイトでも輪編みの編み方を詳しく解説しています。輪編みを覚えると色々な小物が作れますので頑張ってマスターしてください。
2. 引き返し編み
日本で一般的に紹介されている靴下は、かかと部分に「引き返し編み」という技法を使うものがほとんどです。というより他の技法を見たことがないという人も多いのではないでしょうか?しかし、「引き返し編み」は編み物技法の中でも難しい技術で、初心者の手に余ることが多いでしょう。日本で、靴下を編む人が少なくなってきたのは、この技法が難しすぎることが一因かもしれません。しかし、世界的に見た場合、引き返し編みを使った靴下はそれほど一般的ではありません。なぜ、日本では靴下といえば、引き返し編みなのかは謎ですが、日本の手編み界は、編図を始めとして工業製品、つまり機械編みの影響を強く受けています。機械編みの靴下はたいてい踵が引き返し編みのような編み方になっています。そのため、手編みの靴下でも引き返し編みで編むのが普通になったのかもしれません。しかし、手編みをする場合は、引き返し編みを使わなくても同じような形と履き心地の靴下ができます。私たちは、引き返し編みを使わず、しかも爪先と同じ技法で作れる Shaped Common という踵の編み方を初心者用靴下として紹介します。靴下編みの技法については、これまでのシリーズ同様、徹底的に図解を試みましたので、これまで一度も靴下を編んだことのない方でもぜひ、チャレンジしてほしいと思います。
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