ニットソックスの魅力にはわけがある!

クリスマスイヴです。みなさんいかがお過ごしでしょうか。アメリカでは、ニットの靴下を編むのがとても一般的なようで、靴下編み専用のメーリングリストやウエブリングがあります。パターンもクリスマス用やらイースター用やらの名前で公開されています。
靴下編みがアメリカほど一般的でない日本でも、クリスマスプレゼントといえばやはり靴下の中に入っているもの、というイメージは強くあります。子供のころ、なぜ靴下なんだろうという疑問がありましたが、何かの本で「暖炉から投げ込んだ金貨が干していた靴下に入ったことから」という説明を読みました。子供心になんか嘘くさいな〜と思った覚えがあります。この話が聖ニクラウス、つまりサンタクロースのモデルと言われるキリスト教の聖人に対する民間伝承だったというのは大人になってから知りました。それでもなぜ靴下なのかというのは分からないままだったのですが、「サンタクロースの大旅行」(葛野浩昭著,1998,岩波新書)にこの疑問を氷解させるような記述がありました。

靴下や靴は、ヨーロッパ各地において男女の恋愛や性関係あるいは豊穣を示す小道具としての意味をもっていました。(中略)そもそも、あのシンデレラ物語でガラスの靴が重要な役割を演じたのも、靴や靴下が男と女の関係を表す小道具として重要な意味をもっていたからにほかなりません。

そして、この記述に続いて聖ニクラウスは若い男女を結びあわせる聖人としても慕われてきた存在であることが書かれています。う〜ん、そうだったのくわ〜。納得。同じ岩波新書に「日本語と外国語」(鈴木孝夫著,1990)という本があるのですが、日本人にとって素足は別にどうということのない場所だが、イギリス人にとっては違うという、次のような記述があります。

ところがイギリス人にとっては、素足はどんなことがあっても、他人に見せては行けない身体部位なのである。その意味では恥部の一種と言っても差支えない。素足は寝室だけに許される格好なのである。そこで、人前で靴を脱ぐことは、寝室の行為を連想させるほどの強烈な印象を他人に与えてしまう。それだからこそ、日本に来たイギリス人が日本人の家に上がる時、靴を脱がされることに強いためらいと抵抗感を示すのである。

この二つを読み合わせてみると、一生懸命編んだ靴下を彼にプレゼントする、というのはある意味で大胆、別の意味でおおいに効果的と思うのですが、いかがでしょうか?

 

こちらの記事も人気です