イギリスの毛糸メーカーの Rowan News Letter 2000年秋冬号に、セーターを着たペンギンの写真が載っていました。私たちはペットに服を着せるのはあまり好きではありません。まして鳥、しかも野生の鳥にセーターを着せるのはどうかな〜と思って記事を読んでみると、それは私たちの誤解でした。2000年初めにオーストラリアで原油流出事故がありました。これによって水鳥たちは被害を受け、身体に原油がへばりついて羽毛による保温機能が失われた鳥たちは、原油を洗い流す救出作業の前に次々と命を失っていたようです。そこで地元のニッターがゴム編みのニットパターンを作成し、ニュースで配信したところ、なんと1000着以上のセーターが届いたそうです。(実際に保護された鳥は200羽だったそうです。)今ではそれらのセーターは役目を終えて、水筒ボトルの保温に使われているそうです。
私たちはちょうどサンカ手袋の編図を作っているのですが、インターネットで編図を配信するのは本当に大変ですし、データサイズも桁違いに大きくなります。それを思うと、こういう事件のときに文字で表現できる英文ニットパターンは威力を発揮しますね。手早く書けますし、メールで送ったり、新聞に載せたりするのも簡単です。(いや、編図を作るのが面倒だからって、ぐちっているわけではありませんよ。ホント)
こういう事件・事故のときに、手編みの技術がレスキューに役立つこともあるのかと改めて驚きました。芸は身を助く、いや鳥を助くですね。ところで、日本からこのセーターを作って送った方、いらっしゃいますか?