リブ編みのマフラー徹底図解に編み方の説明を追加しました。

リブ編みのマフラー徹底図解に編み方の説明を追加しました。もう少しで完成です。

読者の方から「明治の編物」というメールを頂きました。とても面白い内容でしたので許可を得てご紹介いたします。

 ずっと趣味にしております織物の参考にと求めてあった資料に 明治32年発行の下田歌子著「女子手芸要訣」と言うのが有りました。 これは養蚕から始まって機織、裁縫などが含まれていますが、 その中に「編物」がありました。その前文は以下のようなものです。

編物は早くより吾が邦に於ても女児が手工として取りしたためし ものなり。然れども現今行はるる所のものの如く精巧にして、 且つ許多の種類有りしにはあらず。唯、網及び網袋、網紐等、 稀には夏の汗取肌着に造りし許りのものなりけんを、近来、 泰西風編物の法を伝えて、今は尚吾が新工夫の編みかたをも 交え、やうやうこの手芸も進みに進みもて行くに至れり。 故に其精巧なるものは、殆ど織物に類似して、其れよりも尚 手際よきを感ずる類い之れ無しとせず。原末、本邦人は指尖 の技極めて巧みなる性にしあれば、斯うようの術はいよいよ ますます巧妙を極るに至れるなるべし。

これから、明治32年にはかなり編物が普及しはじめたことが 分かります。また、毛糸は国産化が不充分なので、殆ど輸入品に 頼っていることが書かれています。編み針は錘針、鉤針、玉針の 3種でメリヤス編み等を編む錘針は鉄製で、夏などは汗がつくと 一夜で錆びると書いてあります。鉤針と玉針は角または骨製と あります。このことから、竹の針はまだ出ていないようです。 また、クロムメッキなども施してなかったようです。 玉針がどんなものかか書いてないので判りませんが、錘針を 用いてのメリヤス編みと鈎針編みの編み方が解説して有りました。 表目を右編み裏目を左編みという、など面白い表現もしています。 編物は目を悪くしないように必ず明るいところでするようなどの 新しい技術らしい注意もあって、編物が普及の途上にある手芸で あることが伺えました。
編物は完全に再生可能な衣服という点で和服と一致し、自分で デザインと製作が出来ると言う点で洋服と一致し、場所も道具も まとまった時間も無くても出来るということで、急速に普及した のでしょう。上記の本では、手袋や靴下、シャツ、ズボン下、 肩掛け、花瓶敷きなどを編むとあって、セーターなどはまだまだ だったようです。
直接編物の歴史を書いた本では有りませんが、明治の編物の 状況を知る本だったので御紹介させていただきました。

とても有意義な情報ありがとうございました。明治32年でこの状態でしたら、日本の編物文化が本格的に趣味として定着していくのはやはり昭和になってからなのかもしれませんね。往時をご存知の方で、なにか記憶や情報がありましたらぜひメールでお知らせください。よろしくお願いします。

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