日本の意匠は世界的に評価が高い。編み物はどうだ?

最近では、日本の編物本を買うことが本当に少なくなりました。インターネットが普及してから、海外の書籍や古書の入手が簡単になったため、もっぱら海外の編物本を買っています。さて、彼我の差や如何?う〜。ものすごいクオリティの差を感じます。もちろん外国人モデルを使っているため、やたらに格好良く見える、というハンデを差し引いても、やはり一枚上という気がします。日本人の感性に疑問を感じる瞬間です。しかし、これは単なる私たちのコンプレックスでしょう。日本の工芸技術やセンスは世界市場で十分通用することは証明されています。それをもっとも如実に示すのが、蒔絵です。英語で、Japanといえば日本、japanなら漆器、動詞でjapanは漆を塗ることです。そして漆器には当然蒔絵が施されています。この日本を代表する漆工芸品を紹介している新書本、「日本の意匠」(灰野昭郎著,岩波新書,1995)を見ると、その技法の高度さに加えて、造形の決まり方、色彩感覚の確かさに舌を巻きます。その上、意匠へのこだわり、遊び心、奇想にうならされます。私たちはなんとなく花鳥風月の世界かと思っていたのですが、この本の「文字散らし」という作品に驚きました。この作品は色紙入れと思われる箱なのですが、蒔絵のモチーフはなんと「反故」、つまり書き損じた紙です。さらの紙を収める箱の文様が反故。なんとウィットにとんだ遊び心でしょう。これ以外にも、あたかも虫に食われた部分を金で補修したかのようなモチーフもあります。う〜ん。すごいです。我らが日本人の祖先たち。真似をしようかな〜。わざと編み間違えたようなアラン模様。虫に食われて穴が空いたようなガーンジーセーター。ユニークな作品になると思いませんか?この遊び心、果たして世界に通用するか。世界ブランド「たた&たた夫のミステークニット」こうご期待!え?ホントの間違い作品だろうって?し、し、し、失敬なぁ〜。

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