編物好きの方から、編物の話をできる相手がいなくて、というメールをいただきます。私たちは、夫婦で編物をしていますので、編物の話題をする相手には事欠きませんが(笑)、自分の熱中している趣味を興味の無い相手に話すほど気の抜けることはないでしょう。仮に「うまい」と言ってくれたとしても、こちらが思うツボをついてくれないので、もう一つ嬉しくないんです。ちょっと前に、編物をしない友人に最新作を見せたら「上手い!」と本気で誉めてくれたのはいいんですが、その後「目が揃ってる!」と言われて、がっくり。そういうところを見てほしいじゃないんだけどな〜。あなたも、きっとこんな経験ありますよね。
編物は女性の趣味ということになっていて、男性はほとんどしないのですが、逆にパソコンの組み立て、という趣味は普通は男性のもので、女性ではまっている人は少数です。「PC/AT手作り奮闘記」(Hikaru著,ソフトバンク,1993)という本はパソコン作りにはまっている夫婦の話で、奥さんが書いています。
「おかーさん、上の右から三番目のピンにはんだゴテあてて」
「はーい」
「せーの」
シュポン。
「はい、次」
「はい」
「こういうとき、結婚してよかったと思うんだよな。一人だと手が足りない」
このようなほのぼのとした会話がとても楽しい本です。しかし、旦那さんがパソコンにまったく興味が無い人の場合は大変なようです。前にパソコン雑誌で、パソコン組み立てにはまっている女の人の連載を立ち読みしたのですが、旦那さんと子供を寝かしつけてから真夜中までパソコン組み立てをしていたら、マシンが火を噴いて、慌てて消したのはいいが、それを知られるとまた止めろと言われると思い、寒い夜中に部屋の匂いが消えるまで窓を開けて震えていた、という話のあとでこの本の夫婦が心底うらやましい、と書いていました。しかし、と編物に理解の無い夫をもった人なら言いたくなるのではないでしょうか。旦那さんをパソコン好きにさせるほうが、編物を教えるより、ずっとやさしいではないか、まだ恵まれている、と。