日本式編図の読み方の英語版の第四章をアップしました。

How to Read Japanese Graphical Knitting Charts(日本式編図の読み方の英語版) の第四章をアップしました。

編物と内職は深い関係にあります。イギリスなどでも辺境にあって工業化の行き届かない地域で家内産業として大きく発展してきました。アラン・フェアアイル・シェットランド、は絶海の孤島とでも言うべき地域です。アリス・スターモアの著作を読むと、なんとスコットランド人でさえ、アリス・スターモアが生まれたヘブリディーズ諸島(イギリス本島の西)とシェットランド(イギリス本島の北東)を間違えている人がいたと語っています。まぁ、私たちの知り合いでも、天気予報の地図で沖縄が日本海に出ているので、あの位置に沖縄があると思い込んでいた人がいましたから、無理もないかもしれません。

で、内職といえばやはり長屋で下級武士が傘張りをしているというステロタイプな図が思い浮かんでしまうのですが、幕末には、な、なんと、本当に下級武士がメリヤス編みの内職で糊口をしのいでいたらしいのです。「あみもの毛糸いまむかし」(松本義弘著,日本ヴォーグ社,1986)に次のような記述があります。

おもしろいのは、これらの手袋、靴下は、町人は作らず、武士が内職として盛んに作ったということだ。中でも南部松前藩、一ツ橋、田安家、常陸龍ケ崎藩の家中は「能く之を編みて一工業と為りしなり」という。一ツ橋家の折原照房という人などはメリヤス編の名手だったそうで、これらの武士の編んだものは江戸市中の糸屋、足袋屋にて販売された。

この中で、当時、よく売れたのはメリヤス編の手袋、ついで大小刀の柄袋、鍔袋、それに少量ながら刀の下緒印形、印籠下げ、巾着、さらに襦袢、股引、胴衣、柔剣術の稽古着など。手袋や襦袢の素材は木綿糸、柄袋などは絹糸だった。

う〜ん。「日本では、サムライが町人に代わって編物を編んで供給していた」という内容の英語コンテンツを作ってみましょうかねぇ。果たしてどんな反応があるでしょうかぁ。まぁ、ともかく日本の歴史上、編物は武士のたしなみ、平成のサムライである男性諸氏も堂々と編みましょう。(笑)

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