古代から中世の編物をアップしました。

古代から中世の編物をアップしました。Marie Hartley & Joan Ingilby 氏の The Old Hand-Knitters of the Dales の第一章の邦訳です。 編物の歴史というと、「○世紀ごろ××となって、△の時代には□□が発達…」のような、曖昧な記述のものが多く、しかも年代の誤りも散見されます。歴史を語るのであれば、一次資料(発掘資料)と参考文献をきちんと記述するのが鉄則です。残念ながら、編物関係の歴史を記述してある文献で、根拠となる資料を明記・評価した上で、それから推定される仮説を提示するという手続きを踏んでいるものは少数です。その中で、この文献は別格という感じのもので、数少ない信頼できる参考書だと思います。著者は編物の愛好家ではありませんし、編物に関する書籍はこの一冊です。考えてみると、A History of Hand Knitting を著したラッツ司教も編物のプロではなく、編物に関しての著作はたしかこれだけだったと思います。逆に手芸全般関係に詳しく、素晴らしい編物のパターンや技法の本を何冊も著しているメアリー・トーマスの場合、歴史的記述には誤りが多いようです。考えてみれば、技法に通じているということと、物事を歴史的に解明するということは別物ですよね。

こちらの記事も人気です