テレビで自分の詳しい分野のことを取り上げているのを見たとき、その底の浅さに驚いたことはないでしょうか。例えば、バレンタインデーにあるテレビ番組で「一日でセーターを編めるか!」に挑戦していましたが、ある程度編み物をしたことがある方なら、鼻白んだはずです。なぜなら、どんなセーターでもよいのなら一日はおろか、2・3時間で編み上げることは難しくもなんともないからです。持って回って「挑戦」などしなくとも、その人の実力合わせて逆算した内容のセーターを編めばできるに決まっているのです。それを、セーターを編んでいるところを早回しの映像で見せられても、なんの感慨もおきません。しかし、もしかすると編み物を知らない人なら「へ〜。一日でセーターを!」と、本気で手に汗を握ったかもしれません。
私たちもニュースの「ハッカーの実態を暴く」などというような特集で、顔にモザイクして得意そうに語っている人などが出てくると、おかしくて笑えてくるときがありますね。どうしてもただのおたくにしか聞こえないんで。本当に技術のある人はあんな場所で得意げに語ったりはしません。やればできることですから、得意がる必要はないんです。あるシステムを破れる場合、最高のシチュエーションとは破られるかもしれないとさえ思われないこと、すなわち全く注目を浴びないことです。そして破られたという痕跡を全く残さず立ち去ることが理想ですから、テレビ記者に注目されるというのは、それだけでもうニセモノです。まぁ、これは犯罪ですから誉められた例ではないですが、本当に大きな仕事をしているときは、例え自分に対してだって得意がっている余裕はないので、結局静かになりますよね。お互いに今度はぜひそういう作品をものにしたいものですね。