ウールコットンのインナー電脳編図をアップしました。

シンプルなツインニットの、ウールコットンのインナー電脳編図をアップしました。引き続き、カーディガンの編図を作っていますので、こちらのほうはもう少しお待ちください。

シルクプリーツモヘアのツインニットの、コーディネイト写真を差し替え、文章も一部変更しました。前回は、時間がなくてあまり色々な写真が撮れなかったので、今回少し追加してみました。

MEN’S CLUB という雑誌をご存知でしょうか?日本の男性ファッション誌の元祖のような雑誌で、かつてアイビー全盛のころには、この本をバイブルのように読み込んで、真似をしていた男がいっぱいいました。先日、古本屋で本を見ていたら、MEN’S CLUB BOOK No.9 KNITWare という本を見つけました。昭和59年12月20日発行、定価800円の本は、いったん400円の値が付いて、その上から100円のシールが重ね貼りされていました。本は開けられた痕跡がなく、おそらく新古書と思います。別に買う気がなかったのですが、100円玉一個ということもあり、つい買って帰って読んでみると、おいおい、なんじゃぁ?これはぁ、とページをめくるごとに突っ込みたくなるトンデモ本でした。

(前略)ニット・ウェアとは、スーツやコートのようにウンチクを傾けるより、手軽に身につけてしまう、そんな気安さ、親しみやすさが身上である。

そんなら。こんなウンチク本だすなって〜!

二十世紀のニット・ウェアの知識はこの一冊にすべて語り尽くされている。(中略)今、君が必要とするニット・ウェアのすべてがここにある。

おいおい。言い切ってるよぉ。

この本は、ニットウェアの歴史から始まり、「一 アラン・ニットは手編みでなくてはならない」だの、「ニ 本来のアラン・ニットとは脂抜きをしていない毛糸で編まれなくてはならない」とか、さんざん手編みの”本物”度を持ちあげているんですが、どうみてもこの本を書いている人は手編みのことをよく知らないんではないかとしか思えません。「基本形ニットウェアの研究」という大げさなタイトルの写真を見ると、「シェットランドセーター」として無地の機械編みセーターが写っています。OILED SWEATERの説明は、「未脱脂ウール遣いのセーター、つまり、羊毛を洗わずに脂つきのウールのまま紡いだ糸遣いのセーターを指すわけだが、現実にはアルカリとせっけんの混合水で汚れた原毛を洗い、改めて糸または製品の段階で、羊やアザラシの油脂を染み込ませた、防水性の高いアウトドア・セーターをいう。」と書いてあります。(いったい「現実」って、何の「現実」なんでしょ?未脱脂ウールで編んだセーターは「仮想」のセーター?)もちろん、メリヤス編みは「平編み」とか「天竺編み」、ガーター編みは「パール編み」、のように業界用語で糸の太さの説明はデニールです。要するに、その当時市販されていたセーターを是として、それに伝統のテーストを付けようというスタンスです。

この本からは、手編みだけがもつ独特の質感、迫力、味わい、というような本物の手工芸に対する尊敬の念は感じられません。それでもって、「二十世紀のニット・ウェアの知識はこの一冊にすべて語り尽くされている。」とは良くも言えたもんだと思いますねぇ。

こういう本で知識を入れる時間があるのなら、世の男性諸氏よ、一本でも自分の手でマフラーでも編んでみなさい、と言いたいですね。それこそまぎれもない「現実」の手編みなんですから(笑)。

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