【保存版】編物教室の経済計算(たた&たた夫の生徒係数付き)

さて、「編物の経済」シリーズ(笑)実践編として、今日は編物教室でどれくらいの収入が可能かということを具体的に計算してみます。

立地場所として神戸市灘区を想定します。灘区は神戸市の中でも住宅地が多くまた密集度も高めで編物教室の立地条件としては最高の部類だと思います。灘区の人口は12万5千人、そのうち編物教室に通えそうな12〜75歳くらいの女性の人口は約5万人くらいと想定されます。編物の人口ですが、私たちの会社や友人関係からの推定では多く見積もって1%くらいだと思います。すると、神戸市灘区の編物人口は約500人です。この人たちが、15歳〜75歳の60年間ずっと編物をし、その間に4人に1人が5年間編物教室に通う、という前提(かなり希望的ですが)で計算します。すると、ある時点で編物教室に通っている人は、500人×25%×(5÷60)=12.5人ということになります。この人たちが月5000円の月謝を払うとすると、毎月62500円の月謝収入が可能です。これが神戸市灘区全域という広い地域を対象にできる編物教室の全収入ということになります。 これだけでは、教室運営は難しいでしょうから、たいていの教室は教材費やイベント費用など、他の収入源の確保に苦労しています。 (実際には「現時点では」高齢者の編物人口は1%よりもかなり多いでしょうから、高齢者が多い地域は「現時点では」有利と思われます。)

地域の人口や世帯数は公的機関で公開されていますので、ぜひ実際にお住まいの地域で計算してみられることをお勧めします。上記の計算をまとめると、「見込み生徒数=その地域の女性全員の約0.02%」になりますので、女性の人口に0.0002を掛けて見ると、それが見込み編物生徒数になります。この係数 t=2-4 を発案者の私たちの名前をとって「たた&たた夫の生徒係数」と呼んでください(笑)。もちろんかつては女性はほとんど編物をしていたような時代があり、そのころは編物人口は女性の40〜50%はあったと思いますので、この計算の50倍の月謝収入が見込めたわけです。 この計算結果が正しいとすれば、これから先、編物は先細りですから編物教室だけでは「年金の足しになるくらいの収入」さえも絶望的であることはほぼ確実です。

なにが言いたいかというと資格ビジネスに踊らされるなという一言につきます。 新聞の通信教育広告などを読むと、最近の資格の花形は「情報処理技術者」で、転職・独立にきわめて有効な資格と言うことになっています。「情報処理技術者」は天下の経済産業省(旧通産省)の公認資格ですが、こんな資格があっても実際にはたいして役にたちません。もちろん参考程度にはなりますが、ポイントは経歴と実力です。

将来、編物教室で生活を支えようというのでしたら、自ら編物のブームを引き起こせるくらいのカリスマ性を持ったキャラクターが必要でしょう。つまり、かなり遠くからでも、電車に乗って習いに来てくれる「この先生でなければダメ」という生徒を相当数呼び寄せる魅力が必要ということです。それくらいになれば、講師資格は要らないどころか、自分で団体を作って逆に講師資格で商売できる立場にもなれるでしょう。あるカリスマ美容師が実は美容師免状を持っていなかったとして問題になったというのは、その象徴のような事件です。(これは違法ですが。)

「編物が大好きです。将来ニット関係の仕事に就くために講師資格を取っておくべきですか?」というようなメールを若い人から結構もらうのですが、本当にニットデザインに関係する仕事に就きたいなら、まずは勉強して芸大(それもできるだけ有名なところ)を卒業することをお勧めしています。夢がない話ですが、他の社会と同じく、アパレル関係でも学歴は大きくモノを言うのです。

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